社会の「普通」が、自分にはきつすぎた
大学では大好きな言語学を専攻していましたが、卒業が近づいても就職活動には前向きになれませんでした。いわゆる「普通の就活」が、自分にはきつすぎたからです。
男女に分かれたリクルートスーツを着ることへの抵抗感や、うつを抱えながら働くことへの不安。何より、自分のアイデンティティを大切にしたまま働ける場所があるなんて、当時は思えませんでした。
そんな時、SNSで目にしたのがDCC(ダイバーシティキャリアセンター)の投稿でした。「LGBTQフレンドリー」であり、発達障害や精神疾患など「複数の困難を抱えていても大丈夫」というメッセージに惹かれ、ここなら自分の居場所があるかもしれないと連絡を取りました。
じわじわと効いてきた「心の漢方薬」
DCCでの利用が始まると、キャリア教育や生活管理、認知行動療法などのワークに取り組みました。最初は、こんな地道なことをしていて大丈夫かなと正直不安に思うこともありましたが、数ヶ月経った頃、不思議と自己肯定感が上がっていることに気づきました。それはまるで、じわじわと効いてくる「漢方薬」のようでした。
特に支えになったのは、スタッフとの何気ない会話です。私の髪型や、ファシリテーターとしての役割など、性別にとらわれない「美しい」という言葉で褒めてくれたり、強みを見つけてくれたり。一人の人間として尊重されている実感が、自信に繋がっていきました。
違和感に向き合い、勝ち取った自分らしい環境
就職活動では、企業のダイバーシティへの取り組みと、自分にとって負担の少ない「フルリモート」という働き方を重視しました。
以前は人と関わりすぎると疲れ果ててしまい、オンライン会議でカメラをオンにするのも苦痛でした。でも、DCCで少しずつ慣れていくうちに、自分のペースでコミュニケーションが取れるようになりました。
現在は、外資系コンサルティング企業でITに関わる仕事に就いています。障害への理解もあり、体調が悪い時には解決策を一緒に考えてくれる、並走感のある環境で社員としての第一歩を踏み出しました。
「やっと、本当の卒業式を迎えられた」
一番心に残っているのは、DCCでの卒業式です。
大学の卒業式では、周囲の視線が怖くて、着たくないメンズスーツを選びました。でもDCCの卒業式では、ずっと着たかった、自分らしいと思えるフォーマルな服装で参加できたんです。その時、やっと本当の卒業式を迎えられた、願いが叶ったと心から思えました。
かつての私のように、生きづらさを抱えて動けなくなっている人へ
複数のマイノリティ性を持っていることは、確かに辛いことも多いです。でも、ここにはそれを受け入れてくれる場所がありました。
今は、仕事でしっかり自立しながら、大好きなゲーム制作やプライベートを充実させていきたい。初任給でずっと欲しかったゲームを買うのが、今の楽しみです。
かつての自分と同じように、何層もの生きづらさを抱えて動けなくなっている人へ。自分を諦めなくてもいい場所があるということが、少しでも伝われば嬉しいです。
