新卒でIT企業に入社した頃は、発達障害の診断を受けていなくて。勢いでがむしゃらに仕事に取り組んでいたのですが、頑張りたい気持ちはあるのに成果がでなくて。自分と周りの差をどんどん感じて、部署異動で苦手な業務内容になったことをきっかけに、それまでのストレスと相まって、うつになり休職をしました。 復職への不安に対して専門的知見からのサポートを得たいという思いと、生活リズムを整えたいという思いから、リワーク(復職支援)を受けられる就労移行支援事業所を探していたところ、知人から「LGBTQ等の多様性にフレンドリーな就労移行があるよ」と、ダイバーシティキャリアセンター(DCC)を教えてもらいました。利用相談をした時に、「お名前はなんて呼んでいいですか?」と、通称名を希望される方を想定した質問から面談が始まったことも好印象でした。 見学の後にDCCの利用を決めたのは、支援員一人ひとりの福祉や支援への専門性が高くて、マイノリティ性への理解が深くて、対等かつフレンドリーな接し方がいいなあと感じたからです。また、在宅でリモート参加を選べることも決め手の一つでした。朝が苦手なこともあり、復職先の職場も在宅勤務なので、仕事と同じようなリズムで支援が受けられる方がいいなと。そしてなにより、DCCは、自身の多様性を理解・受容するプロセスを通じ、自分らしい生き方・働き方を探す「自己受容」を支援のなかで大事にしていて、支援員一人ひとりがそれを体現していることも信頼感につながりました。 2ヶ月の利用期間のなかで、LGBTQや障害がある社会人がキャリアについて話す「ロールモデル講座」や、職場でのコミュニケーションスキルを高めるソーシャルスキルトレーニング等の講座を通じて、自分に向き合う機会にもなりました。また、支援員との個別面談のなかで、私自身の発達特性の棚おろしや、職場へ配慮事項を伝えるための資料づくり等、復職に向け丁寧に伴走を受けられました。また、支援員の福祉の知識が深かったので、今後のヘルパー利用等に関するアドバイスももらえて、復職後の生活リズムが崩れることの心配もなくなりました。 DCCを利用してよかったなと思うのは、自己受容が育めたことです。振り返ると、幼少期から自己肯定感が低くて。これまで私は、わからないことがあっても誰かに頼ることが苦手で、かつ断ってはいけないという価値観で、一人で抱え込みすぎる癖があって。また、自分の発達特性を理解しないまま「定型発達にならなきゃ」と無理をしていたように思います。生まれてこの方ずっと無理しながら溺れながら日々を過ごしている感覚があったのですが、自己受容をできるようになったことで楽に息ができるようになったような感じがしています。 LGBTQだからとか、発達障害だからということだけでなく、なにかしらマイノリティ性を抱え生きている人の多くは、人生のなかでしんどいことや悲しいことを経験してきたと思います。だからこそ、自身のマイノリティ性やそこに起因した経験を隠す必要がない心理的安全な場で、これからの生き方や働き方を考えていける環境が、DCCのいいところだと思っています。「LGBTQ等多様性にフレンドリーな就労移行」というと「LGBTQでないと利用できないのかな?」と思われてしまうこともあるかと思いますが、そんなことは全くなくて。支援員のプロフェッショナリティや人間味が高いからこそ、LGBTQの人もそうでない人も、他のさまざまなマイノリティ性がある人たちも、安心して支援が受けられる場所だなと思っています。ぜひこれを読んだあなたにとっても、選択肢の一つになるといいなと思います。